このコーナーでは、MBAの取得は本当に役に立つのか、とりわけ、日本社会においてはどのような役割を果たすのかについて、これまでMYMBA編集部がお話を伺ったり、資料にあたった結果を元に、検証します。はたしてMBAは出世やワンランク上の生活、キャリアを保証してくれるものなのでしょうか?(MYMBA編集部編)
■日本の社会でMBAは役に立つのか?
ビジネススクールでは日本企業の商習慣を見直す機会も多く、ときには日本を再評価することがある反面、欧米流のビジネスの考え方を叩き込まれます。そのため、実社会復帰後、日本流のやり方について疑問を持ったり、欧米のビジネスの成功例をそのまま日本社会に当てはめようとして、うまくいかなくなってしまうことを目にすることがあります。
それはMBAを取得したから、というよりも、個々の資質や実社会復帰後の経験によるところが大きいようです。理論やプランを現実に合わせて実行するには、ビジネススクールで得たものを現実社会に当てはめる努力をする必要があります。
実際、日本においては、MBAを持たずとも優秀な経営者はたくさんいますし、風土に合わないという理由で、かえってMBAホルダーを敬遠する世界的企業もあります。
ただ、だからといって、MBA取得は日本社会では役立たない、と結論づけるのは早計に過ぎるというものです。
それは、MBA取得にあたり得たことは、個人の能力や資質をさらに高める効果があるからです。高い能力と資質をもって初めて、ビジネススクールで学んだ幅広いノウハウは活かされ、またそれを活かすことにより、その人は更に高いレベルの能力を得ることができます。そういう人が、日本の社会において市場価値の高い人となるのは自明の理です。
■自分には本当にMBAが必要なのか考えてみる。
MBAを取れば給与が飛躍的にアップし出世も保証される、英語を駆使して世界中とわたり合え人脈も広がる等々、MBAに対するプラスのイメージや幻想は、ちまたにあふれています。しかし、果たしてそうなのでしょうか?
いみじくも、インタビュー内で坂野尚子さんが、おっしゃっているように、給料や肩書きのアップなど、表層的なところだけを求めてしまうと、ビジネススクールで学んだことを活かしきれずに、逆にキャリアダウンとなってしまうこともあるようです。
もちろん、同年代の平均的サラリーマンの給与額を大幅に上回る額を提示してくれる一部の外資系企業もあるようですが、いっぽうで、ほかの社員とのバランスなどを考えて、以前よりも低い水準の給与額を提示してくる企業も多いのも事実。また、企業派遣組にとっても、卒業後は同期入社組と同じ待遇になることもあり、いずれにしても短期的な給与アップに、大きな期待を抱かないほうがよいでしょう。
自分が経営者となる場合も、社長の給与は役員報酬となるため、その会社の業績と連動するのが一般的です。したがって、やはり必ずしもアップするとは言えません。
大事なのは、自分の5年後、10年後のキャリアプランをしっかり考えて、そこに辿り着くためにMBAが本当に有効なら、それはチャレンジに値するということです。しつこいようですが、MBA取得はあくまでも手段であって目的ではありません。何度もこれを言うのは、実はここを取り違える人が多いのが現実だからです。
MBA取得について、とことんつきつめて考えて決断し、実行したなら、ビジネススクールで得る経験や友人、過酷なカリキュラムを優秀な学生と伍してやり遂げたという自信は、一生の宝物となるでしょう。



